法律コラム

公益通報制度について

2023年11月6日

1 公益通報者保護法とは

公益通報者保護法は、内部告発した人を守るための法律です。同法では、労働者等が、勤務先等に対し、「一定の刑事罰・過料の対象となる不正」(以下、「通報対象事実」といいます。)が起き、または、起きようとしていることを通報した場合に、勤務先等は、通報したことを理由に、不利益な取扱をすることが禁止されています。また、公益通報窓口の担当者は、正当な理由なく、通報者を特定できる事項(氏名、連絡先等)を漏洩してはならないとされています。そして、同法の指針として、通報を受けた事業者は、通報対象事実の中止または是正措置を講じたときはその旨を、通報された事実がないときはその旨を、速やかに通報者に通知することとされています。
 この公益通報者保護法の目的は、企業内で起きている違法行為等を早期に発見し、是正することで、企業活動に伴う事件や不祥事を防止し、または、被害の拡大を抑えることにあります。
 なお、通報対象事実は、「一定の刑事罰・過料の対象となる不正」に該当する場合であり、刑法、個人情報保護法、食品衛生法、不正競争防止法、独占禁止法、下請法等といった定められた法律に違反して刑事罰や過料の対象となる場合に限定されます。そのため、ハラスメントは、暴行・脅迫・強制わいせつ等の犯罪行為に該当する場合を除き、通報対象事実に該当しないということになります(企業側で、公益通報窓口を設置するにあたり、就業規則違反等も通報対象事実と定める場合があり、その場合には、ハラスメント等も通報対象となり得ます)。

2 企業が公益通報窓口を外部の弁護士に委託する意義

近時、公益通報窓口を外部の弁護士に委託する企業も増えてきています。その場合、次のような意義があります。 通報する労働者等にとっては、雇用関係等がある会社の窓口に連絡することは、通報者情報は秘匿されるといっても、ときに内部の人間関係を心配して通報を躊躇させてしまう可能性があります。よって、外部の弁護士窓口の方が、外部であることや、弁護士という専門家への安心等から、通報する労働者等にとって利用しやすい制度となります。
 一方、企業の方としても、弁護士の窓口を通すことで、通報内容について、何が法的問題なのか、どう対応すべきか、といった道筋をつけやすくなり、問題に対して、端的に、適切なアプローチや対応をとることができます。
 よって、公益通報窓口を外部の弁護士に委託することで、公益通報窓口の運用を、より実効的に、適切に行うことができる、という意義があります。